◇食糧生産に果たす農薬の役割◇

農村人口の減少や高齢化、農地の減少により日本の食糧生産基盤は弱体化し、食糧の多くを輸入に頼っています。日本の食生活を維持していくためには約1700万haの農地が必要ですが、国内にはのべ500万ha。日本は国内の2倍の農地を海外に頼っていることになります。
しかし、気候変動や人口の急増により世界的な食糧不足が懸念され、このまま輸入を拡大し続けることは多くの問題があります。国内だけだなく世界の食糧生産力を向上させ、食糧を安定して供給するには、農業技術の重要な柱、農薬の役割は大きいと考えます。

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急増する世界人口の「食」を支える重要な手段の一つが農薬である・・・・・

(農薬工業会:JCPA NEWS〜1999.9No.12特集)
日本農薬学会主催 第26回「農薬と環境と安全性シンポジュウム」
京都大学名誉教授 栗原紀夫氏による講演要旨抜粋を紹介させて頂きます。

農薬の必要性と効用「世界の人口と食糧生産」

農薬を使用しないで栽培した場合の減収率(収穫がどれだけ減少するかの率)

世界の人口は今や60億に近い。2020年には100億前後(80〜120億)に達するであろうといわれている。
我が国では飽食という言葉があるほど、食に関しては量的に豊富であり、また贅沢もしている。
一方、言うまでもなく、世界のあちこちでは飢餓に苦しむ人々が大勢である。
食糧流通の問題もあり、現在のところ流通さえうまくできれば何とかなるかも知れないが、このまま人口増加がつづけば食糧の総量は近い将来、地球上に住む人々を支えられなくなるであろう。
適当な人口増加抑制をはかるとともに、食糧増産はまだまだ必要ではなかろうか。
食糧増産の手段の重要な一つが農薬である。
病害虫や雑草などにより、現実には農作物はどれだけの率で損失しているのか、世界のスケールで金額で推定した例を見ると地域(大陸)によって多少の違いがあるが(アジアでは損失率43.3%、オセアニアでは27.9%など)、世界の平均損失率は33.8%となっている。
すなわち病害虫や雑草により約3分の1の農作物の損害をこうむっている、とのことである。これは推定の値である。
我が国では、「無農薬区」と農薬を使う「防除区」を、他は同じ条件で設定して作物を栽培、収穫し、品質まで比較した大規模な試験が行われた。
これは1991〜1992年にわたって社団法人日本植物防疫協会が中心となり、全国22都道府県、69ヶ所の関係機関(試験場や農業大学校など)の協力で行った調査である。
対象作物は12種類でその結果は右図の通りである。

これから一目瞭然、大変な減収となることがわかる。
ことにりんごやももなどは壊滅状態に陥る。減益率は減収率よりも若干高いもの
が多く、これは収穫物の品質も関係するからであろう。
また除草にのみ絞って「手取り除草区」と「無除草区」とを比べても、たとえば水稲では30%強、大麦では70%近い減収率となるなどの調査がある。
少なくとも、収穫物を販売しようという程度の規模の農業を行うには、農薬がほとんど必須の資材であることが理解できる。
除草などは手取りでもできるはずであるが、とくに水田などではその労力を考えると、安全で安価な除草剤が出回っている現在、あえて昔からの「手作業による草取り」という重労働を常日頃の栽培で行おうとするような作業者は先ずおられないのではないか、と思う(日本全国の水田除草を除草剤を使わず全部人力で行った場合、1年で8967億円ものお金が余分にかかるとの計算があり、除草剤の経済効果は大したものである)(ある種の作物に対しての無農薬栽培の試みがあるが、これは極くに限られた条件があってはじめて可能になるのではないかと考えられる)。

水稲

  27.5%

だいこん

  23.7%

小麦

 

35.7% 

きゅうり

60.7%

 

大豆

 

30.4%

とまと

 39.1%

りんご

97.0%

 
ばれいしょ
  31.4%

もも

100%

なす

  20.9%

キャベツ

63.4%

 
トウモロコシ
  28.0%

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