◆農薬の分類◆

wb01058_.gif (2137 バイト)

T.農薬の名称

市販される農薬の容器には農薬の名称などの表示(ラベル表示)が義務付けられていますが、その名称とは種類名、商品名、有効成分の化学名と多くの場合一般名の4つの名前が表示されることが多いです。
更に、農薬登録取得までの間の試験では試験名があり、法規制とは別に営業部門では一般的に化学名を除き、この試験名称を使用しています。

当社殺線虫剤「ネマトリン粒剤」を例に説明しましょう。

種類名

ホスチアゼート粒剤     (原則として有効成分の一般名に剤型名を付します)

商品名

ネマトリン粒剤(R)    (ネマトリンは石原産業(株)の登録商標です)

化学名

(RS)−S−See−ブチル=0−エチル=2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イソホスノチオアート

一般名

ホスチアゼート
農薬の有効成分を簡単に表現し、国際商品として健全な流通にも寄与するために国際標準化機構(International Oeganaization for Standardization ISO)が農薬の一般名を国際規格として定めるようになっています。

試験番号

IKI−1145

U.用途別分類

農林水産省では農薬をその用途により次のように分類しています。

用途別名称

内   容

殺虫剤

狭義には有害な昆虫(害虫)を防除する薬剤を指しますが、広義には殺ダニ剤、植物寄生線虫を対象とする殺線虫剤、貯穀害虫防除や畑地くん蒸に用いられるくん蒸剤を含みます。

殺菌剤

 

殺虫殺菌剤

殺虫剤と殺菌剤の混合剤

除草剤

 

農薬肥料

農薬と肥料の混合製剤(石灰窒素はその他の農薬に分類される)

殺そ剤

ノネズミを駆除するための製剤

植物成長調節剤

芽の伸長、花芽の形成、果実の成熟、種子の発芽率向上、果実の摘果、茎の節間伸長の抑制に用いられる製剤(表現が長いのでPGRと略することが多い)

その他の農薬

展着剤、鳥獣忌避剤、害虫誘引剤、フェロモン製剤、生石灰及び石灰窒素(肥料でもあり農薬でもある)

 

V.

剤型別分類

市販され、使用されている農薬は、有効成分をむらなく散布して、効力を十分発揮させ、取扱いに便利なように、有効成分である化学物質を濃厚に含有する原体を各種の補助物質で希釈して製剤されています。
この製剤形態を「剤型」といいます。
(注記)
有効成分である化学物質を工業的に生産する場合、技術的、経済的にも不純物をまったく含まない製品を合成することは不可能に近く、現実的には有効成分である化学物質を濃厚に含む製品を合成しており、これを原体といいます。

剤   型

内     容

粉   剤

農薬原体を粘土などの鉱物質微粉で希釈し「微粉」の形状に製剤化したもので、そのまま使用する製剤を総称して「粉剤」という。

「DL粉剤」
粉剤の一種で、ドリフト(漂流飛散)を少なくするため、10μm以下の微粉を少なくした増量剤を用い、更に混入している微粉を少量の凝集剤を加えて大きい粒子に凝集させた製剤。

「FD」
フローダストとも呼ばれ、一種の粉剤であるが、平均龍度が2μmの超微粉の製剤で、浮遊性がよくハウス内で均一にゆきわたる。

粒   剤

農薬原体を粘土などの鉱物質微粉で希釈し「細粒」の形状に製剤化したもので、そのまま使用する製剤を総称して「粒剤」という。「細粒」より大きく造粒または打錠した製剤もこれに含めている。

「粉粒剤」
形状は粉剤、粒剤で、単独又は組合せからなる製剤で、粉剤、粒剤に該当しないもので、そのまま使用するものをいう。

「粉末」
粉状の製剤で、他の剤型に該当しないものを総称して「粉末」という。

「微粒剤F」
「粉粒剤」の一種で粒径53〜212μmの製剤に用いられている。

「微粉剤F」
「粉粒剤」の一種で粒径180〜710μmの製剤に用いられている。

水和剤

製品は粉末状であるが、水和性を有し、水に懸濁させて用いる製剤を「水和剤」という。

「ゾル、フロアブル」
水和剤に分類されるが、一般の水和剤が粉末状であるのに対し、これは微粉化した農薬原体及び増量剤に界面活性剤を加え、水で懸濁させた液状の製剤で、一般の水和剤同様に水で希釈して散布、或いはそのまま散布する方法がある。粉末状の製剤、ドライフロアブルもある。

水溶剤

水溶性の粉状、粒状の固体の製剤で、主として水に溶解して用いるものを「水溶剤」という。

乳   剤

農薬原体に乳化剤などを加えた液体の製剤で、水に懸濁させて用いるものを「乳剤」という。

液   剤

水溶性液体の製剤でそのまま、または水に希釈、溶解して用いるものを「液剤」という。

油   剤

水に不溶の液体製剤そのまま、または有機溶媒に希釈して用いるものを「油剤」という。

エアゾル

畜圧充填物であり、内容物が容器よりバルブを通じて霧状に噴出するものを総称して「エアゾル」という。

マイクロカプセル剤

有効成分をポリマーなどで均一に被覆するマイクロカプセル化という操作を経て、製剤化した農薬を総称して「マイクロカプセル剤」という。

ペースト剤

糊状の製剤で、他の剤型に該当しないものを「ペースト剤」という。

くん煙剤

通常、発熱剤、助燃剤を含んだ製剤で、加熱により有効成分を煙状に空中に浮遊させて使用するものを「くん煙剤」という。

くん蒸剤

有効成分、または有効成分に由来する活性物質を密閉または、それに相当する条件下で気化させて殺虫、殺菌などに用いる製剤を「くん蒸剤」という。

塗布剤

当該農薬を主として農作物の一部に塗布し、またはこれに類似する方法で使用する製剤を総称して「塗布剤」という。

剤型をその英語の略号で表現することがよくあり、粉剤=D(Dust)、粒剤=G(Granure)、水和剤=WP(Wettable Powder)、水溶剤=SP(Soluble Powder)、乳剤=EC(Emulsifiable Concentrate)、フロアブル剤=SC(Suspension Concentrate)として使用されています。

W.包装規格

1)

製剤された製品は、農家が使用しないように、一定量を紙袋やビンなどの容器に、そして更にその容器の一定数をダンボール箱に包装して販売されています。このひとつの容器単位を個装、ひとつのダンボール箱単位をケース(C/S)といい、それらを合わせて包装規格といいます。

2)

各メーカーが異なった個装容量やケース内個装数量で販売すると、指導、流通の混乱や農家の使用誤りを招く恐れがあるので、我が国では全農が「1個装で一定面積(10アール)」を原則として各剤型の代表規格を「粉剤・粒剤は3kg×8袋」、「水和剤・水溶剤・液剤・乳剤・フロアブル剤は500g(ml)×20袋(本)」と定めて指導し、加えて包装資材の規格も指導しています。

3)

このようにして農薬の製品は「商品名・剤型・包装規格」を一体として取引されています。


農薬のはなし