◇ゴルフ場の農薬◇

かつて「ゴルフ場では農薬を大量に散布し、水や空気をはじめ環境を悪化させ、プレーヤーやキャディーの健康にも害を与えている」とうい批判がありました。これは乱開発と環境破壊の象徴として、当時のゴルフ場が槍玉に上げられたという面を否定できません。
しかし、環境庁が1990年から全国で実施しているゴルフ場の排水を対象とする水質調査の結果によれば、毎年10万を超すサンプルのうち、農薬濃度が基準をオーバーしたのは多い年で14例、平成10年は2例のみでした。大気についても、ゴルフ場での現地調査の結果では、散布後の農薬濃度は環境庁の定めた空中散布の場合の基準などを大きく下回っており、
水と空気いずれをとっても心配するに及ばないものでした。

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(農薬工業会:農薬ニュースレーダー1999.12No.21記事より抜粋させて頂いております。)

直接流出を防ぐ調整池

環境庁指針値オーバーは2例のみ

日本のゴルフ場の多くは丘や里山を切り開いて造成されており、川の上流や水源に近く傾斜地が多くなっています。また、グリーンの下には暗渠が張り巡らされ排水をよくしています。
このような立地条件やグリーンの構造から、一度に大量の雨が降ると散布された農薬が雨水とともに水系へ流れ出し、飲料水や環境を汚染するのではないかと、かつて心配されたのです。
散布された農薬は、日光などにより分解されますし、地面にしみても土壌の表層に吸着され、地下水にはいることはほとんどありません。ただ、散布直後に大雨が降った場合、雨水が芝生の面を流れ、芝の上に残っていた農薬を洗い流すこおとがあります。
このような場合でも、農薬の混じった雨水が直接水系に流出するのを防ぐため、雨水や暗渠からの排水はいったん調整池などに溜められてから水系に流されます。
その間にも日光や微生物により農薬の分解が進みます。

環境庁はゴルフ場での適正な農薬使用をはかるため、1990年に「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係わる暫定指針」を定め、現在35農薬について暫定指定値を公表しています。この値はゴルフ場の排水中の農薬の許容濃度をさだめたものです。
毎年、全国の水質調査の結果が公表されますが暫定指針値を超える例はごくわずかです。
1998年度は47都道府県の1,907ヵ所のゴルフ場で調査した結果、112,683のサンプルのうち暫定指針値を超過したのはわずかに2例のみ、超過率は0.0018%でした。
超過した事例については自治体による指導がなされ、その後の調査で指針値を超過していないことが確認されています。

ゴルフ場暫定指導指針対象農薬についての水質調査結果

年度 調査対象ゴルフ場数 調査対象農薬数 総検体数
(A)
指針値超過検体数(B) 指針値超過比率(%)
1990 1,455 21 46,016 10 0.0217
1991 1,734 30 89,713 14 0.0156
1992 1,783 30 110,701 7 0.0063
1993 1,877 30 111,489 3 0.0027
1994 1,898 30 106,895 1 0.0009
1995 1,937 30 108,563 1 0.0009
1996 1,984 30 102,846 1 0.0010
1997 1,990 35 120,774 5 0.0041
1998 1,907 35 112,683 2 0.0018

環境庁水質保全局土壌農薬課

急速に下がる大気中の濃度

安心してプレーできます

ゴルフ場での農薬散布は休日やプレー終了後の夕方からがほとんどです。農薬工業会が社団法人「緑の安全推進協会」へ委託、神奈川県内のゴルフ場で、フェアウエーに農薬散布したあとの大気中の農薬濃度(気中濃度)の推移を調査した結果は次の通りです。
分析対象の農薬は、殺菌剤のフェルトラニルとペシクロンです。6つの測定地点で検出された濃度の範囲を示しています。いずれも散布後3時間で、それぞれ2.74μg/m3、0.70μg/m3という最高値が検出されました。
フェルトラニルは、散布後10時間たつと6地点中3地点で検出限界(0.05μg/m3)未満になりました。残りの地点ではわずかながら検出されましたが、24時間後では検出されたのは1地点のみで、その濃度は0.05μg/m3でした。
ペンシクロンは散布後7時間で測定地点のすべてで検出限界(0.05μg/m3)未満にさがりました。
このように、一晩たち翌朝になれば農薬はほとんど検出されなくなります。
また、その間に検出された農薬の気中濃度は、評価値や無影響量を大きく下回っており、たとえこれらの農薬が残っていてもプレーヤーやキャディーの健康に影響を及ぼすことはないと考えられます。
ゴルフ場では、より環境に配慮したコース管理が行われ、農薬についても一層の効率的使用が進められています。
ですから
ゴルファーの皆さんは、緑でいっぱいの環境の中で、安心してショットやパットに集中して、プレーを楽しむことができるのです。

 農薬について 食糧生産に果たす農薬の役割 食事と農薬の関係