経営トップ対談
グローバル志向の遺伝子と
挑戦するマインドを呼び覚ます、
新たな旗が掲げられた。
代表取締役 社長
大久保 浩
代表取締役 専務執行役員
バイオサイエンス事業本部長
堀江 幹也
ISKグループのパッションが詰まったスローガン
制定されたコーポレートスローガン「Local Insight, Global Impact」。どのように受け止めておられますか?
大久保
2つの点において、素晴らしいフレーズが生まれたと思っています。
ひとつは、当社の成り立ち。100年以上前に創始者がマレー半島(マレーシア)において鉄鉱山を開発したところから始まり、海運業を興すも戦争ですべての権益が没収されましたが、戦後はゼロからの再出発を経て、総合化学メーカーとしてグローバルに展開してきました。その原点回帰とも言える発想と捉えています。
もうひとつは、私がいつも伝えている「独創・加速・グローバル」という三要素とも合致しています。とくに農薬関連の有機化学事業においては、アメリカ・ヨーロッパなど海外展開を積極的に行っていますが、全社的にもう一度グローバルインパクトをつくっていこうという機運が高まることを期待しています。

堀江
農薬事業分野をずっと歩んできた私にとって、非常に腑に落ちる表現だと感じています。研究所で見つかった新たな知見が、思わぬ用途や大きなビジネスとして世界に波及していく、リップルエフェクトそのものです。
ローカルでの細かな市場ニーズの把握(ローカルインサイト)と、そのグローバル展開は、多国籍企業に対抗する重要な戦略になる。そういった意識をみんなで持つことができればと思います。
まさにISKグループらしいフレーズですね。
大久保
単なるブランドメッセージではなく、創業以来の「グローバル志向」という遺伝子と、「研究開発型メーカー」という事業スタイル、そして今後の経営課題である「グローバル展開・DX・サステナビリティ」にも通じる、石原らしさが的確に表現されていると思います。
さらに嬉しかったのは、このブランド強化プロジェクトは、トップダウンで始まった話ではないことです。複数の部門長から「ぜひ、やりたい。今の当社にどうしても必要」という提案が上がったのです。
プロジェクトメンバーが非常に頑張ってくれて、よくここまで昇華させたなと感謝しています。
堀江
スローガンの制定にあたって、アンケートを実施したのです。全体的にアンケートの参加が積極的で、とくに海外グループのメンバーからの評価が高かった印象です。
独創の種は、その足元にある
ご自身のこれまでを振り返って、リンクする部分とは?

堀江
欧州で、殺菌剤シアゾファミドの開発で試行錯誤したことがもっとも印象的です。
開発の最終段階にきて、対象のバレイショ疫病が数年に一度のレベルで大発生し、想定していた効果が得られなかったのです。
研究者が対応策を考えているときに、現地の研究員が「薬を葉の表面に薄く伸ばすことができたら効果があがるのでは」というアイデアをくれました。その後、製剤技術でカバレッジを高めたことで課題が克服できて、2年後に無事登録することができました。
その時に思ったのは、悩み抜かなきゃだめなんだなと。諦めずに試行錯誤することで、思わぬ解決策が生まれることがあるのです。
大久保
私は入社して40年ほど経ちますからね。最初は酸化チタン事業の技術者として、シンガポールへ赴任して工場の立ち上げから携わり、その後は四日市工場へ。そこでは環境・安全問題の行政対応を任されました。
後から振り返ってみると、自分の想像をはるかに越える難題に取り組むときほど、得られるものも大きかったように思います。
折衝相手との言葉の壁や価値観の違いに苦戦しながら向き合っているうちに、ふと心が通じ合う瞬間があるのです。言葉でなく、face to faceで互いに「今、分かり合えたな」と感じられることがある。企業人ではあるけれど、最終的には人と人のつながりが物事を動かすことを知りました。
地域や現場でのローカルインサイトが大事だと。そのために後輩へ伝えたいことは?
大久保
そこは誰かに教わることではないように思います。自分で考えて見つけることに意味がある。常にマーケットを見ながら困りごとは何なのか、解決への糸口はどこにありそうか、継続的に粘り強く観察する。そうして、必死に考えるうちに何かきっかけが見えてくるはずです。そのうえで行動してみることが大事です。
中央研究所のメンバーと少人数ずつのグループトークを行ったのですが、当社の研究員たちは本当に研究が好きなのだなと実感しています。休日でも論文を読んだりと、感心するほど熱心です。
その熱意を力にして、さらにビジネス感覚を身につけていけば、ローカルインサイトが発掘されていくと確信しています。
堀江
若い人たちには、大きな夢をもって取り組んでほしいですね。
地域にもっと目を向けて、今何が求められているのか、自分が研究している分野でどう貢献できるかを追求していくことが、ビジネスチャンスに繋がります。
自分の目標と最終目標が整合しないといけない。共通の目標を皆が認識することが大切です。
「考え、試す」を繰り返す
たとえば、新入社員の方たちに「Local Insight, Global Impact」をどう説明しますか?
大久保
最初から意味は分からなくても、暗記してしまったらいいと思いますね。成長していくなかで、ある時「あぁ、こういう意味だったのか」と気づく時が必ずやってくるはずです。
当社のパーパスである「化学技術でより良い生活環境の実現に貢献し続ける」。そこからもう一段降りて、日々の仕事のなかで立ち返る場所というか、仲間同士の合言葉にしてくれると良いなと思います。
言葉の解釈は、その人の年齢や立場、経験によって変わるものです。つねに心に留めながら、1年め2年めと節目の際に思い返してみるといいかもしれません。

堀江
考えることが大切だと思います。経験値はなくても、自分が今いるところで深く考え、試して、また考えて試してを繰り返すうちに、見えてくるものが必ずあります。
私は最初に聞いたときから、このフレーズがとても気に入っています。
大久保
今日こうやって対話するなかで、さらに好きになりましたね。90点だったのが100点になったという感覚。それは、自分のなかで咀嚼して、自分の言葉として発するなかで解釈が深まっていくからなのでしょう。改めて素晴らしいアウトプットに感謝しています。
新たな旗のもと、一人ひとりが幸せであるように
この新たなスローガンのもと、どのようにリーダーシップを発揮していこうとお考えですか?

堀江
薬剤というのは、研究開発から製品化までバリューチェーンが長いだけに、関係者の息が合わなくなることもあるのです。登録は取れたけれど、販売体制が整っていないなど。また、農薬については多国籍企業が先を走っている状況でもある。そのようななかで、共通の目標を持つことができれば、まだまだ伸びていけるし、リーディング企業とも伍して戦えると考えています。
そういった意味でも、従業員一人ひとりがこのフレーズを腹落ちさせることが大切です。社長はこれまでも各事業地をまわって対話を続けておられますが、私もその一端を担えたらと考えています。
最終的には、空気のように必要不可欠な存在として定着するように。そうすることで、さらに新しいローカルインサイトが見つけられると考えています。
大久保
青臭いかもしれませんが、まず従業員が幸せになることが一番です。心身ともに健康で、笑顔でいられてこその仕事です。人は幸せを感じられると、生産性が1.3倍に、創造力が3倍になると言われています。当社は研究開発型メーカーですから、やはり人の力が何より大切なのです。
そのためには数字を残すことが絶対不可欠。株主様にもしっかりと還元して、社会に大きく貢献する企業として評価いただけるようになる。それがまた従業員の自信にもつながります。
私はつねづね、従業員の皆さんに「みんな 幸せになる!」と伝えています。幸せにしますよ、ではなく幸せになりましょうと。幸せだと感じるのは本人のことですから、他人にしてもらうものではない。では、そのために何が必要かというと、企業でいえば、自分の仕事に対していかにエンゲージメントを感じ、誇りをもって取り組めるかが大切です。
「Local Insight, Global Impact」は、まさにその旗印となってくれるはず。国内外の仲間と一緒になって、さらにISKの旗をなびかせていきたいですね。

