有機化学事業
医薬、動物用医薬品
精緻な有機合成技術を生命につなげる。
石原のカガクは、医療にまで拡がっています
農薬事業で培った有機合成技術を医薬品の開発、製造に展開しています。
1998年に医薬品等の製造品質管理基準GMP対応(Good Manufacturing Practice)の工場を完成させ、アメリカ食品医薬品局(FDA)の査察をパスし、製造承認を得ました。2001年より医薬品原薬と呼ばれる医薬品の有効成分として、唾液腺・涙腺の障害による口腔乾燥等の症状が現れるシェーグレン症候群の治療薬「セビメリン塩酸塩水和物」の原薬を製造し、国内製薬会社への供給をスタートしました。
四日市工場内にある医薬専用GMP工場には、精密機器レベル(クラス100,000)のクリーンルーム、多段階合成における最終精製のカラムクロマトグラフィー、ろ過/乾燥、粉砕/混合といった工程、USP純水(不純物を一切含まない水)に準拠する製造用水を備え、排水、廃棄物処理にも信頼性の高いシステムを整えています。
医薬品は、何工程もの合成プロセスを経て製品となります。石原産業では、この合成プロセスの途中段階にあたる有機中間体とよばれる医薬品の原料を製造しています。なかでも、1981年に第36回大河内賞を受賞した有機中間体「CTF」(CF3ピリジン誘導体)の製造方法の開発は、国内外から当社の技術が高く評価されるきっかけになりました。
身近な動物たちの健康にも、石原のカガク
家族の大切な一員として共に過ごすコンパニオンアニマル。そんな身近な動物たちの大切な命を守ることができるのは私たち人間ではないでしょうか。
しかし、動物用医薬品がカバーしていない疾病領域も多く、日本では用いられる薬剤の80%以上がリスクを考慮しながら人用の薬剤を転用せざるをえない状況です。背景には、コンパニオンアニマル専用に開発された治療薬がまだまだ少ないという現実があります。
石原産業は、動物向け医療で治療法がなく治療薬の登場が待ち望まれている分野、獣医師が新薬を必要とする分野にリソースを注ぎ、研究開発を行っていきます。その先駆けとしてフザプラジブナトリウム水和物が犬膵炎急性期用抗炎症剤として2018年に日本国内(ブレンダ®)、2022年に米国(PANOQUELL®-CA1、条件付)の製造販売承認を取得しました。これからも、農薬で培った基礎技術を応用し、動物たちの健康を石原のカガクが支えます。